そもそもお墓とは
お墓を建てよう
そうお考えになるとき、あなたはどんなことを思いますか。
家族のお墓。お父さんのお墓。お母さんのお墓。
それとも、おじいさん、おばあさんのこと?
あなたにとって、あなたのご家族にとって、大事な方が永遠に眠るお墓。
はたして、どんなお墓がふさわしいでしょう。
これまで、お墓のことをご家族で話し合われたことはありますか。
- 言われてみれば、お墓なんてわからないことばかりで困ってしまう
- お金はいくらくらいかかるのかしら
- 今から新しく作って、お盆までに間に合うかなぁ
- 石材店に聞いてみたら詳しいことがわかるかも。
でも、まだしっかり決めたわけじゃないのに、売り込まれたりしたら嫌だな
そうですね。
いざ準備しなければと思っても、わからないことばかり、何からはじめればいいか途方に暮れてしまう、相談できる相手もいない。
そのようなお話をよくうかがいます。
お墓を買うのは一生に一度あるかないか
ほとんどの方にとって、お墓を買うのは一生に一度あるかないかのこと。まして、決して安い買い物ではありません。必要なものとはいえ日用品をポンと選んで買うのとはわけが違います。
わからないことばかりで不安になってしまうのも無理はありません。
けれど、わからないからといってきちんと考えないまま業者まかせにしてしまったばかりに、あとになって嫌な思いをする方も少なくありません。
実際のところ、消費者センターにはお墓を購入する際に起こったトラブルがたくさん寄せられています。
お墓を建てるのは家を買うのと似ています。
家は一生に幾度とない大きな買い物。むずかしいこと・わからないことばかりです。
けれど、だからといって、あなたは大切な家を建てるとき、だれかに勧められるがまま簡単に決めて買ってしまいますか。
住宅会社にまかせっきりにして、ポンとお金を支払いますか。
いいえ、そんなこと、きっとしないでしょう。
お墓も同じです。
お墓は何十年、何百年の間、ずっとそこにあり続けるのです。
その場しのぎで、とりあえず間に合えばいいというものではありません。
どうか、ご家族で十分に話し合って、大事なお墓を建ててください。
あなたがお墓を建てたあと、深い満足感や幸福感に包まれることを願っています。
「良いお墓」「悪いお墓」とは?
突然ですが、そもそもお墓は何のためのものだと思いますか。
- うちにもお墓があるけれど、ご先祖さまのためじゃないの?
- 亡くなった人が入るための場所でしょう?
- 長男家族が引き継いで、代々守っていくものだと思うけど
そうですね。お墓が何のためにあるのか、お墓の意味は何か。
そんなこと、たずねられでもしない限り、ゆっくり考えることはあまりないかもしれません。
せっかくですから、この機会にちょっと考えてみてください。
あなたやご家族にとって、お墓はどんな意味をもっているでしょうか。
お墓は家族の伝統を重ねる「終(つい)の棲家(すみか)」
お墓は家族の伝統を重ねていく「終(つい)の棲家(すみか)」、つまり「家の根」となるものです。
本来、お墓を建てるということは、家族の過去・現在・未来をつなぐ意味も込められています。
何十年、何百年と長くその場に存在しお参りされ続けるお墓は、私たちに命を授けてくださったご先祖さまを供養し、現在に感謝し、未来にむかって家族の絆を深めるためのものです。
日本人は、はるか昔から亡き人の幸せをひたすら願うため、また生きている人の心の寄りどころとしてお墓を建て、お墓参りをしてきました。
日本人にとって、お墓は
- 自分や家族の身に起こった出来事をご先祖さまに報告に行く
- 迷ったときに心を落ち着かせに行く
- ただひたすら感謝しに行く
そんな場所でした。
お墓はご先祖さまと対話できる大切な場所であり、脈々と続く家族の絆を確認しあう「尊いもの」として、ずっと機能してきたのです。
現在でも、お墓や仏壇の前で亡き人の冥福を祈りご先祖さまを供養することで、ご先祖さまとともに生きる幸せを感じている方もいます。
宗旨宗派や地域性による多少の違いはありますが、「お墓は生者と死者の幸福の交換」という本質だけは今も生き続けています。
薄れつつあるお墓の本質
しかしながら、その一方で、こうしたお墓の本質が薄れつつあるのも事実です。
死者は「怖い」、供養しなければ「祟(たた)る」などといった間違った考え方や情報の氾濫から、私たちが昔からずっと守り続けてきたお墓の本質が忘れられつつあります。
これだけは覚えておいていただきたいのですが、お墓は絶対に祟りません。
考えてみてください。あなたがもしお墓に入ったとき、間違ったお墓の建て方や祀(まつ)り方をしたからといって、かわいい子どもや孫を怒ったり、祟ったりするでしょうか。
めったにお参りに来ないようなら寂しく感じるかもしれませんが、ことあるごとにお墓参りに来てくれれば、むしろ形や祀り方など気にしないと感じるのではありませんか。
お墓はどんな建て方をしたとしても「悪いお墓」にはなりません。
もし「良いお墓」や「悪いお墓」があるとすれば、それはお参りする方々の気持ちです。
お墓を大切に守るということは、家族や個人にとって心の寄りどころであるだけでなく、ご先祖さまに対する感謝の気持ちのあらわれなのです。
お墓は言うなれば、「幸せを生み出す打ち出の小槌」。
家族にとっての幸せのシンボル。
こうした「お墓」の本質的なことについて、親から子へ、子から孫へと代々伝えていくことは、とても大切なことなのです。